エンタメ至上主義

迷ったら楽しいほうに舵を切る人生

物語りを、ふたつ。

緊急事態宣言は解除されたけれど、変わらず家と徒歩範囲で小さくなってモサモサと暮らしています。そうこうしているうちに「東京アラート」が発動されてしまったね。今年になってから、知らなかった単語や制度を沢山覚えたなぁ。

先日、「スカーフ額装」を作りました。作った、と言ってもスカーフを皺なく折りたたんでフレームの中に入れただけ。ピンと綺麗に張るために中に厚手の敷紙を入れて、要所をマスキングテープで留めています。

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模様のレモンと額の色味がちょうど合って、想像よりも良い出来になった気がする。早速部屋の一角に飾ってますが、毎日目に入るたびに新鮮で、ちょっとだけ素敵な気持ちになります。

 

このスカーフは、かつて祖母から母に贈られたもので、ほぼ使っていない新品状態だったのを、数年前の帰省時にクローゼットから引っ張り出してもらってきたんだよね。実家のデッドストックに興味が出始めるのってもしかして20代半ばあるあるかなぁ?その頃、急に実家が宝の山に見えて、帰省のたびに嬉々として両親のクローゼットを開けていました。目ぼしいものはもう大体手に入れたぜ。ふっふっふ。

そうだ、このスカーフには逸話があって。その昔バブルの頃、自営の我が家もそこそこ商売が上手くいっていて小金を持っており、ある時東京の娘(私にとっては叔母)のところに遊びにきた祖母が、銀座でお買い物中、エルメスにふらっと入って「ここでお土産を買うわ」と言い出し、スカーフ10数点をその場でお買い上げ。帰ってきて友人や親族の女性陣に配ったんだとか。これはその内の母の分、ということです。

なんで東京お土産でエルメスなの!?とか、さすがに価値観がバブル過ぎる!とか、ツッコミどころが多くて個人的には大好きな話なんですが、ブランド物に興味がない母はこの話をする時は、義母の金遣いにいやな思い出があるのか、だいぶ苦々しい顔で話してくれる。でも、好きなエピソードなので、私は何度もねだってしまう。

そして母はほとんど使いもしなかったけど、私は日常的に、結構普通に使ってました。ちょうど今ぐらいの時期に、白いブラウスと合わせると爽やかな感じで良いんだよね。今のところ誰かに譲る予定はないけれど、譲るべきタイミングがきたらこのエピソードも含めたっぷりと聞かせてあげたい。心底愉快な顔で。

 

そして、ついでにフレームの話。この物語は大学生の頃。所属していたサークルは、非常に文化的で謎に活発で、オタクさと青学らしさが融合された結果、シーズンごとに様々な風変わりイベントを催していたのですが、一年の最後に行われるクリスマスパーティー(3年生の送り出し会)では、2年が主幹事となり会を取り仕切り、賑やかしとして1年生と3年生が男女ペア(もしくはトリオ)になって3時間街をデートしてくる…という遊びがあったんです。ちなみに、昼間は学校で3年生を労う会をやり→1,3年生がデートに出かけている時間に2年生はゆっくりと夜の準備→夜はお店で飲み会、どんなデートをしてきたか〜などを話しながらワイワイ過ごす、というタイムスケジュールなので、結構理にかなった企画なのですよ。ちょっとチャラついてるけどね!

それで、私が3年生で送り出されるとき。デート相手は1年生の男の子だったんですが(ちなみに組合せは2年生が全て考えた上で当日デート直前に発表される。NGな相手同士は事前に忖度します。笑)、もともと同郷で気安い相手だったので、これは3時間会話に困ることはないな〜とひとまずホッとしたのをよく覚えてる。大学の門の前で、その瞬間だけ手を繋いで、送り出し役の2年生にツーショット写真を撮ってもらったところで、「どこ行こっか」と尋ねると「今日はもう全部考えてあります!」と。そう、そういうことができるモテる子だったんだよね。

そうして連れて行かれた下北沢。学校最寄りの表参道からも夜の会場最寄りの渋谷からも電車で一本、なんて素晴らしい。スタオベです。「俺、めちゃくちゃホームタウンなので案内します。カフェでお茶してちょっと雑貨屋見て、その後一件予約してるとこ行きましょう!」と、順当に回って途中でプリクラも撮って(これこないだ掃除してたら出てきてびっくりした。)、そうしてやってきた最後のお店。似顔絵専門店、「カリカチュア」。

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調べたら、2016年に閉店してる!笑

「今日の思い出に、一緒に似顔絵描いてもらいましょ!」

グッと親指を立てて最高に爽やかな見事なドヤ顔を頂きました。そう、こういうことを好む子だよね君…!

 

そんなわけで、「どちらかというと私はこういうことが結構嫌いである」なんて言い出せるわけもなく、数十分かけて描いてもらった似顔絵は「プレゼントです!」と額縁ごと贈って頂き、あれから約9年間、私の部屋にあり続けてるわけです。友人が遊びに来るたびに「これは彼氏?」という問いと、「お前はこういう類のことをする人間だったのか?」と言外に問うてくる視線に対して、上記のエピソードを答え続けるのが面倒で最初の1〜2年以降はずっとクローゼットの中に眠っていたんですが、この度ハッ!と思い出し、スカーフを収めるフレームとして数年ぶりに日の目を浴びることになりました。(絵のほうは外してクルクルと巻いてまた仕舞いました。)

 

私の単なる思いつきで一緒に飾られることになったこの2つ。毎日目に入るたびに新鮮で、でもどうしたって懐かしくて、ちょっとだけ素敵な気持ちになります。

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